つくる
エンタメ専門社労士事務所
Creative Workforce Support
働く人のためのメンタル不調 休職・復職ガイド
Chapter 1 — First response
初期異変では、両側とも「まだ決めなくていい」でした。初動からは、期日と手続きが動き出します。「気づく」から「決める」に変わります。
診断書が出た。あるいは本人から申し出があった。ここから、制度の話が始まります。
場面 1 / 共通の事実
診断書を受け取った日に、結論を出す必要はありません。
ただし、受け取ったという事実は、その日のうちに記録します。
経営者・人事
その場で「いつから休む?」「いつ戻れる?」と聞かないでください。答えられません。
その日にやるのは3つだけです。
診断書が出た時点で、本人は限界まで来ています。その場で決めさせようとすると、辞めるという答えが返ってきます。また、お休みを繰り返し、診断書が郵送でくる場合があります。その際もやることは同じです。
働く方
診断書を出したその日に、すべてが決まるわけではありません。
「いつから休むか」「いつまで休むか」「お金はどうなるか」は、このあと会社と決めていきます。その場で答えられないことは、答えなくて大丈夫です。「まだ考えられていません」で足ります。
ひとつだけ確認しておくといいのは、次にいつ、誰と話すかです。それが決まっていないと、宙ぶらりんの時間が続きます。
場面 2 / 共通の事実
診断書には、病名と、休養が必要という記載しかないことがよくあります。
期間が書かれていないと、会社は手続きを進められません。
経営者・人事
期間の記載がないとき、本人に書き直しを求めないでください。本人が医師に「会社が書けと言っている」と伝えることになり、正確に伝わりません。
足りない場合は、本人の同意を得たうえで、主治医に直接照会します。書面で、聞きたいことを具体的に書いて出します。
よくある誤解診断書に「1ヶ月」と書いてあっても、1ヶ月で戻るとは限りません。最初は短めに出て、そのあと延長されることが多いです。1ヶ月分の段取りだけ組むと、必ず組み直しになります。
それから、主治医は職場を見ていません。「病気の治療」が目的で患者と接しており、日常生活が送れるかどうか、を基軸に置いています。通常の業務に耐えられるか、ではありません。50人未満の事業場では、産業医の選任義務はありませんが、休職開始時はともかく、復職時は本人の主治医の意見だけで復職判断するのは避けた方が無難です。
働く方
診断書に何を書いてもらうかで、その後の進みやすさが変わります。以下が入っているとスムーズです。
また、医師に伝えておくといいのは、職場の実際の様子です。どんな仕事か。何時から何時までか。通勤にどれくらいかかるか。忙しい時期があるか。
医師は職場を見ていないので、話さない限り分かりません。ここが伝わっていないと、診断書の内容が実態と合わなくなります。なお、病名を会社に伝えたくない場合、その相談も医師にできます。
場面 3 / 共通の事実
休職に入るのは、本人が申し出るからか、会社が命じるからか。
就業規則の書き方で決まります。
経営者・人事
ここは、規程を確認してください。「会社が休職を命じることができる」と書かれていないと、命じられません。
本人が「働けます」と言い続けている場合、休職に入れられなくなります。かといって、働ける状態でない人を働かせることもできません。どちらもできない状態になります。
このとき使えるのが、主治医への照会と、会社が指定する医師の受診です。判断材料を増やすしかありません。なお、休職を命じるのは処分ではありません。本人にそう伝わらないよう、書面の言葉に気をつけてください。
働く方
会社から休職を命じられることがあります。
これは処分ではありません。制裁でも、解雇の予告でもありません。働ける状態でない人を働かせると、会社の側が責任を問われます。だから、本人が「働けます」と言っていても、会社は止めなければならないことがあります。
逆に、自分から申し出て休職に入る形の会社もあります。どちらの形かは、就業規則に書かれています。確認しづらければ、「休職はどういう手続きで始まりますか」と聞くだけで足ります。
場面 4 / 共通の事実
休職には終わりの日があります。
その日は、始まった時点で決まっています。
経営者・人事
休職の起算日と満了期間を確認してください。勤続年数で期間が変わる規程の場合、その社員が入社何ヶ月なのかを、確認して伝えてください。
また、起算日も決めてください。有給休暇で休んでいる、欠勤している、など、状況により変わります。なお有給を取るかどうかは、本人が決めることです。会社から「先に使え」と強制はできません。欠勤が一定期間続いた日から起算するなど、規程に書かれているとおりにします。その場合の満了日は、面談時に最初に伝えてください。
ここが曖昧だと、満了日も曖昧になります。満了日が曖昧な休職は、終わらせられません。
働く方
一番大事な数字は、休職がいつまでかです。
会社に確認してください。「私の休職は、いつからいつまでですか」。この日までに復職できないと、退職または解雇の扱いになる会社がほとんどです。
不安にさせるために書いているのではありません。知らないまま過ごすと、期限が近づいてから慌てることになります。早く知っておいた方が、落ち着いて療養できます。
延長できる場合もあります。それも含めて、最初に聞いておいてください。
場面 5 / 共通の事実
引き継ぎは必要です。ただし、完璧にはなりません。
経営者・人事
本人の上司に本人の仕事の範囲、担当の範囲を確認してください。
休職中の引継ぎに求めていいのは、現場が止まらないための最低限の部分です。進行中の案件。相手先の連絡先。データの置き場所。次の期限など。
求めてはいけないのは、完全な引き継ぎ書です。作らせようとすると、休職の開始が遅れます。そして、その間に悪化します。現実的なのは、こちらが質問リストを作って、答えてもらう形です。ゼロから書かせるより、負担がはるかに軽くなります。
分からない部分は、休職後に本人へ連絡して聞くのではなく、こちらで再構築する前提で考えてください。休職中の業務連絡は、療養の妨げになります。
働く方
引き継ぎを完璧にしてから休もう、と思わないでください。その状態には、たどり着けません。伝えるのは、あなたしか知らないことだけで足ります。
進行中の案件がどこまで進んでいるか。相手先は誰か。ファイルはどこにあるか。次の期限はいつか。書けなければ、口頭でもかまいません。箇条書きで十分です。
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