4 試し出勤|メンタル不調による休職|つくる Creative Workforce Support
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メンタル不調による休職 採用とSNS予定 就業規則予定 人事デューデリジェンス(人事DD)予定 メンタル不調による休職 4 試し出勤
予防 自己点検10問 Switch
時間軸 0 初期異変 1 初動 2 最初の面談 3 休職中 4 試し出勤 5 復職判定 6 復職直後 7 再休職 8 雇用終了 9 まとめ

Chapter 4 — Trial work

試し出勤

うまくいく場合と、うまくいかない場合があります。期限だけではなく、どのような状態になったら中断するかも予め決めておいてください。

賃金が出るかどうかで、労災の在り方が変わります。

いま読んでいるのは 経営者・人事の視点 休職規程にはふたつの側面があります。

場面 1 / 共通の事実

始める前に、終わり方を決める

リハビリ勤務(試し出勤)は、あらかじめ設定した期間を最後まで全うするのが原則ですが、期間満了を待たずに即時打ち切り(中止)とすべき危険信号が存在します。

経営者・人事

リハビリ勤務を予定期間を待たずに、打ち切りを検討すべき5つの目安。

1. 勤怠の顕著な破綻(出勤維持が困難)

「無断欠勤」が発生したとき

朝出社しても、体調不良で作業に入れず「別室や医務室で横になっている時間」が大半を占めるようになったとき。

2. 明らかな精神・心理症状の悪化(安全面のリスク)

自傷・他害の言動や、死をほのめかす発言(自殺念慮)が見られたとき。

勤務中に突然泣き出す、パニックを起こす、過呼吸になる、激しい怒りやパニックで取り乱すなど、感情のコントロールが完全に失われたとき。

3. 業務・通勤における「事故・怪我」のリスク発生

通勤途中や業務中に「安全確保」ができなくなったとき(例:フラフラして駅のホームや階段で転倒する、信号無視や危険な横断をする、車の運転や機械操作で危険なミスをする等)。

※薬の副作用や極度の不眠により、業務中に意識が飛ぶ・激しい眠気で危険な状態になることがあります

4. 周囲の社員・職場環境への深刻な悪影響

指示やアドバイスに対して過剰に攻撃的・防衛的になり、他の社員へのハラスメントや激しい不当なトラブルを頻発させるようになったとき。

本人の状態をケアするために、指導役や周囲の同僚が通常業務を完全にストップせざるを得ず、周囲の社員が体調不良(連鎖休職のリスク)を起こし始めたとき。

5. 医師(産業医・主治医)からの「即時中止指示」

産業医面談や主治医の受診時に、医師から「直ちにリハビリ勤務を中断し、休養に専念させるべき」という明確な医学的指示(意見書)が出たとき。

安全上の問題が発生した場合については「様子を見よう」「あと1週間だけ頑張らせてみよう」と引き延ばすのは大変危険です。安全確保後、医師等へ相談して個別判断します。

働く方

試し出勤は、途中でやめられます。また、事故や重症化が起きそうだと会社が判断した場合、途中で中断することもあります。

やめることは、失敗ではありません。無理を続けると、病状がさらに悪化して長期間回復できなくなる場合があります。「まだ早かった」という結果が出たというだけなので、そのときは、しっかり身体を休めることを最優先してください。

どうなったら中断になるのか
中断したら、そのあとどうなるのか
休職期間は、どう扱われるのか

これらを事前にしっておくと、安心です。

場面 2 / 共通の事実

賃金の無い、試し出勤(模擬出勤)

自宅から勤務職場の近くまで通勤経路で移動し、勤務時間と同様の時間帯を過ごしてもらって帰宅するなど、生活リズムを整え、復職の準備を進める取り組み。労働の実態がない場合、「労働者」ではないため、労災の対象ではありません。

経営者・人事

もし模擬出勤先が社内で、手が空いているように見えたとしても、仕事を渡さないでください。

労働をしないことを前提にしているのに、実際に業務をさせていた場合、その前提が崩れます。あとから労働時間として問われる可能性が出てきます。

座る場所を決めておく(元の席でなくてかまいません)
毎日、短く声をかける人を決めておく
過ごし方を決めておく(資料を読む、記録をつける、など)

指揮命令下になく、労働が発生していないこの期間は、社内でアクシデントにあったとしても、基本的には労災の対象にはなりません。なんら事故があった場合、任意保険での対応になりますので本人にも説明が必要です。また、模擬出勤の行き先は、勤務先ではなく、図書館や専門のリワーク施設など社外となる場合もあります。

働く方

職場にいるのに仕事をしていない。この状態は、想像以上に居心地が悪いかもしれません。ほとんどの方が、手伝おうとしてしまいます。ですが、この間は不要です。この期間に業務をすると、扱いが変わってしまうことがあります。あなたにとっても、会社にとっても、それはプラスになりません。

頼まれた場合は、断って大丈夫です。「試し出勤中なので」で足ります。何もしていないことを、申し訳なく思う必要はありません。この期間は、そういう設計になっています。

場面 2 / 共通の事実

賃金の有る、試し出勤

賃金が出る場合、プレ職場復帰といえます。
通勤も含めて労災の対象になり、扱いとしては「労働者」です。

経営者・人事

こちらは逆です。業務をしてもらいます。

ですが試し出勤は、心身を職場環境に慣らすことが目的です。いきなり本格的な業務を行うのではなく、短い時間から始め、軽い軽作業、簡単なメールチェックなど、本格的な復職後に向けて、業務の感覚を事前につかむための訓練期間です。

やることよりも、やらないことを決める方が大切です。

受けない業務(緊急対応、クレーム対応、深夜のやりとり、など)
入れない案件(納期が動かせないもの、単独で回すもの)
出ない会議

周囲にも共有してください。本人が断る形にすると、断り続けることが負担になります。依頼が来ない状態を作るのが、会社の仕事です。

賃金については、注意が要ります

時間が短くなった分の減額は、働いていない時間の分なので自然です。ただし、時給の単価そのものを下げるのは労働条件の変更にあたります。本人の同意が必要です。口頭の了解で進めないでください。期間と金額を明記して、書面で合意してください。

この期間は労災の対象です。無給の試し出勤とは違います。通勤も含めて、通常の労働者と同じ扱いになります。

働く方

試し出勤のこの期間は、心身を職場環境に慣らすことが目的です。気をつけてほしいのは、自覚なく業務を増やしてしまうことです。

試し出勤はあくまで試し出勤であり、本格的な職場復帰とは異なります。万全な体調でない中で、気づいたら元の仕事、元の量に戻ってしまってしまわないよう「やらないこと」を最初に決めて、会社から周囲に伝えてもらうこと、また、何か頼まれても自分ひとりでなんとかしようとしないことです。いったん会社に伝えましょう。

「こういう仕事を頼まれました」

これは、必要な報告です。

賃金についても、確認しておいてください
いくらになるのか
いつまでその金額なのか
元に戻すのはいつか

時間が短い分だけ減るのは自然です。ですが、時給の単価を下げる場合は、あなたの同意が必要です。内容を確認して同意してください。書面でもらってください。

もうひとつ。給与が下がった状態が続くと、社会保険の等級が変わることがあります。そうなると、将来もう一度休むことになったときの傷病手当金の額にも影響します。この点は会社か健康保険の窓口で確認してください。

場面 3 / 共通の事実

よく見せようとしてしまう

試し出勤は、復職の判定材料になります。
状態を良く見せようとしたりする現象はありがちです。

経営者・人事

本人は「早く復帰しなければ」「会社に迷惑をかけている」という強い焦りや罪悪感から、必死に体調不良を隠して頑張ってしまい、無理をしている場合があります。

この、無理をしている状態のままで復職させてしまうと、以前よりさらに重度な状態での再発・再休職に至るリスクが極めて高くなります。

「良く見せようとしている(無理をしている)」客観的サイン

本人は「大丈夫です!」と言っていても、以下の不自然なサイン(ギャップ)がないか観察しましょう。

勤務中の無理と、退社後の反動

勤務中はピシッとしているが、帰宅後に倒れ込むように寝てしまい、休日はまったく動けない(「土日にずっと寝込んでいる」などの発言)。

勤務時間の終盤(夕方頃)になると、極端に顔色がわるくなる、返答が遅れる、作業効率が著しく落ちる。

過度な緊張感と「オーバーペース」

リハビリ勤務(リハビリ=体を慣らす期間)なのに、休職前と同じようなスピードや完成度で仕事をこなそうとする。

「何か手伝うことはありますか?」と過剰に周囲に気を使ったり、指示された以上の範囲までやろうとする。

小さなミスの隠蔽・不自然な取り繕い

簡単な確認漏れや指示の聞き逃しが増えているのに、「問題ありません」「分かっています」と取り繕う。

会話の違和感(空元気・過度な明るさ)

「もうすっかり元気です!」「早く元の業務に戻りたいです」と、自己評価が主医や産業医の見極めよりも不自然に高い。

「良く見せようとしている」のは、本人の復職への強い意欲の表れでもありますが、同時に不安や焦りのあらわれでもあります。本人が「もっとできます」と言ってきても、あらかじめ決めたリハビリ計画の負荷(例:1日4時間、データ入力のみ)を絶対に上げないようにします。あえて「物足りない」と感じるくらいの負荷で抑えることで、隠れた疲労の蓄積を防ぎます。

働く方

この期間は、試験ではありません。

よく見せようとしないでください。うまく見せた結果での復職は、戻ってから続かなくなります。無理をして通えた、という結果には意味がありません。

リハビリ勤務で会社が確認したいのは「100%の力で頑張れるか」ではなく、「余力を残して安定して継続できるか」です。頑張れば行ける、ではなく、続けられるかのほうが、はるかに重要です。

つらい日は、つらいと伝えてください。それは減点になりません。頑張って成果を出すことではなく、「自分の限界を知り、無理をせずに助けを求められることを目標としてください。

場面 4 / 共通の事実

長引かせない

試し出勤には、終わりの日が必要です。
決めていないと、いつまでも続きます。

経営者・人事

リハビリ勤務は、期間の終わりを決めずに始めると、判断を先送りしてダラダラと長引きます。また、良く見せようとしてしまいがちな本人の言葉や様子から、担当の主観で見極めるのは困難です。主観的なイメージで捉えるのではなく、客観的な数値の結果で捉えてください。

① 出勤率(勤怠)

個別計画通りの出勤率を下回らない(無断欠勤・当日欠勤が0件など)

② 『生活記録表』が安定しているか?

・睡眠:就寝時間/起床時間/夜間の中途覚醒/睡眠時間

・食事と行動:朝昼晩の食事状況、散歩や勉強などの活動内容

・疲労感と気分:1日を通じた気分(10点満点評価など)や疲労の度合い

・退勤後の状態:帰宅後の過ごし方、休日の状態

③ 業務の安定性

指定した単純作業(個別計画の定量 例70%以上など)を一定ペースで維持できているか
※夕方に極端な失速がない

④ 対人コミュニケーション面

・挨拶、基本的なやり取りができるか

・業務上の報告/連絡/相談(ホウレンソウ)ができるか

・自分の状況(体調・限界)を素直に伝えられるか

・指示や指摘を過剰に受け止めず消化できるか

・周囲に過度な負担や気を遣わせすぎていないか

リハビリ勤務初期は、チーム全体とやり取りさせず、限られた1〜2人のみにすることが多いです。対人コミュニケーション面において「復職できる状態」とは「みんなと明るく元気に話せること」ではありません。むしろ、体調が悪い時や困った時に、無理をせず素直に周囲へ助けを求められること(ヘルプサインが出せること)です。

これら「本人の記録」「会社の事実データ」「周囲の観察」の3つを掛け合わせて、決まった期間で、数字・データだけでドライに判定しましょう。

働く方

いつまで続くのかを、最初に確認してください。決まっていない場合は、聞いて構いません。「試し出勤は、いつまでの予定ですか」。確認しておくのは3つです。

いつまでか
いつ判定するのか
この期間は、休職期間に含まれるのか

3つ目が重要です。含まれる場合、試し出勤をしている間も、休職できる期間は減っていきます。

長引いていると感じたら、そう言って大丈夫です。

Next — Chapter 5

復職判定

「復職可」の診断書が出てから、実際に戻るまで。会社が認めないとき、何を確認するか。

5 復職判定を読む →

Author

千葉若菜

千葉若菜 特定社会保険労務士

エンタメ専門社労士事務所 つくる Creative Workforce Support
音楽業界歴20年の社労士

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