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エンタメ専門社労士事務所
Creative Workforce Support
メンタル不調 休職・復職ガイド|会社の対応と制度設計
Chapter 6 — First six months
復職できても、再休職することは珍しいことではありません。
復職はゴールではありません。最も警戒しなければならない期間の、入口に過ぎません。
場面 1 / 共通の事実
経営者・人事
復職後も一定割合で再休職に至ってしまうケースは少なくありません。復職支援プログラムにそって、復職直後こそ綿密なフォローアップを行います。
やることは2つです。
「様子を見て」ではなく、具体的な日付を先に決めてしまいます。例えば、復職後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月など、予定として押さえてください。
直属の上司だけに任せない方がベターです。上司は業務を回す立場なので、戻ってほしいという期待がどうしても入ります。違う視点があるとよいでしょう。
働く方
復職できたことは、大きな一歩ですここまで来るまでに、きっといろいろな不安があったと思います。
でも、復職した日がゴールではありません。
復職後しばらくは、「もう大丈夫」と思って頑張りすぎたり、周囲に合わせようと無理をしたりしやすい時期です。再び調子を崩して休む人もいます。それは、意志が弱いからでも、失敗したからでもありません。体調が安定するまでには時間がかかることがあります。
だからこそ、復職できたことをきっかけに、急いで「元の自分」に戻ろうしないでください。
通院も、必要な間は続けてください。
体調や仕事の状況を記録することも続けてみましょう。
復職を機に、すぐに全部やめてしまうと、少しずつ変化していることに気づきにくくなることがあります。
「今日は少し疲れた」「前より眠れなくなってきた」など、小さな変化も大切なサインです。
そして、もしもう一度休むことになったとしても、それは失敗ではありません。
必要なときに立ち止まることも、働き続けるための大切な選択です。
復職のゴールは、「もう休職しないこと」ではありません。
自分の状態に気づきながら、無理なく働き続けられることです。
場面 2 / 共通の事実
会社は復職した従業員に対し、その健康状態に応じて業務内容や労働時間を調整し、過度な負担がかからないように配慮する義務があります。
経営者・人事
基本項目復職前に、ここにあるような内容で、その人に合った個別の復職支援プラン内容を組み立てます。業務や個人により異なり、例示全てをやる必要はありません。
時差出勤と週半ばの休みからはじめると、疲労やストレスが限界に達する前に休息が入るため、再発の芽を早期に摘むことができます。朝が最も体調が重く、夕方にかけて楽になるという、体調の日内変動の波は多いですが、夕方にかけて重くなる逆のパターンもあります。
見落とされやすいのが、最後の項目です。1件を長くやる方が、3件を少しずつやるより楽です。時間ではなく、切り替えの数で見てください。
クリエイティブの現場では、「戻れる案件がない」という問題が起きます。進行中の案件は途中から入れず、新規はキックオフを待つことになる。この場合、案件外の業務を先に用意しておく必要があります。資料整理、ナレッジの棚卸し、定型補助作業など。復職前に決めておいてください。
在宅勤務には、注意が要ります。
通勤の負担は減りますが、在宅勤務だとブレーキが効かなくなる人もいます。孤立が進みやすいため、取り戻そうとするあまり、誰の目も届かない場所で限界まで追い込んでしまい「ある日突然、連絡が取れなくなる(重症化する)」ケースです。孤立や長時間化に注意し、本人・医師等と個別判断してください。
相談相手を2人にするのは、意図があります。直属の上司には、業務を回したいという立場があります。本人もそれを分かっているので、上司には言いにくいことが出ます。人事、産業保健の担当、別部署の管理職。利害のない相手を1人用意してください。
配慮の名目で、これをしないでください。
どれも善意で起きます。そして、どれも再発の要因になります。
特に情報から外すことは、本人が最も敏感に気づきます。会議に呼ばれなくなった、メールのccから外れた。業務量を減らすことと、蚊帳の外に置くことは違います。
これらの配慮は、開始当時決めた内容を、見直す期間つきで書いてください。見直し時期が入っていない配慮は、既定になります。そして戻せなくなります。
働く方
「こうしてもらえると助かります」と伝えてみましょう「体調が悪いので」ではなく、何がどうきついのかを伝えてください。
会社は、要望があった範囲を元に調整します。
在宅勤務について在宅勤務については、通勤とはまた違う注意が必要です。仕事のリズムが崩れやすく、一人になる時間が長くなります。負担が大きくなり、調子が悪くなっていっても、誰も気づくことができません。もし在宅勤務にする場合は、孤立化、長時間化に注意して始めましょう。
仕事を減らされすぎたと感じたら…やることが少なすぎる。会議に呼ばれない。情報が回ってこない。もし余裕があるようなら、可能な範囲を伝えてみましょう。
会社が負担を減らそうとした結果、減らし過ぎている場合があります。
「もう少し任せてもらえると思います」
「あの会議には、出ておきたいです」
無理は禁物ですが、意欲は伝えてください。
場面 3 / 共通の事実
復職直後は、短時間勤務や残業制限、業務量の調整などを行うことがあります。
問題は、どの順番で、どのくらいの速さで戻すかです。
経営者・人事
① 最初から「いつ元に戻すか」の期日を固定しすぎない復職した、〇か月経った、そのことだけを理由に、すぐに休職前の勤務時間・業務量へ戻すのではなく、まずは現在の勤務条件で安定して働けるかを確認します。
②「体調」だけでなく「実際に仕事ができているか」を見るたとえば、次のような復職後の実際の勤務状況を確認します。
「本人が元気そうだから」「本人が大丈夫と言ったから」だけで判断しないことがポイントです。
③ 一度に全部戻さない勤務時間と業務量を同時に大きく増やすのではなく、変更する要素を分けて段階的に戻す方法があります。たとえば、次のようなイメージです。
順番は、できれば時間を先にしてください。
勤務時間は、量の問題です。調整しやすく、影響も見えやすい。業務内容は、質の問題です。責任の重さ、判断の量、対人のやりとり。ここが負担になっている場合、時間を短くしてもあまり負担感が変わりません。
④ 戻した後に「大丈夫だったか」を確認する勤務時間や業務内容を増やしたら、それで終わりではありません。変更後に、「その条件で継続して働けているか」を確認します。
負担が大きければ、いったん前の段階に戻すことも選択肢です。
これは「失敗」ではなく、再休職を防ぐための調整です。
⑤ 絶対に避けたいこと 「恩返し型の復職」本人側に、「休んでいる間、みんなに迷惑をかけた」「もう復職したのだから頑張らないと」「早く元の仕事を全部取り戻さないと」という気持ちがあると、復職直後に一気に仕事量を増やしてしまうことがあります。
会社側からも、次のように明確に伝えておいてください。
「復職した=休職前と同じ状態に戻った、ではありません」
むしろ、無理なく働き続けられる状態を確認しながら、少しずつ通常勤務に近づけていくこと自体が復職支援です。
働く方
「早く元通りに」ではなく、少しずつ
復職の目標は、早く元に戻ることではなく、無理なく働き続けられる状態をつくることです。
場面 4 / 共通の事実
職場復帰にあたって、労働条件そのものを見直す場合があります。
経営者・人事
ここは、3つに分けて考えてください。
原則として、使用者が、労働者の合意なく、労働契約を一方的に変更することはできません。個別の同意が必要です。
時短勤務にし、結果その分の給与が減るのは、不利益変更や権利の乱用とみなされるリスクがあります。時短勤務は基本的に必要な措置ですが、医学的見地と本人の希望を元に勤務時間を決め、本人と合意(同意書の回収)を行ってください。
役職を外れたので、役職手当がなくなる。賃金規程で「役職手当は当該職位にある者に支給する」と定めていれば、可能です。職位を解けば、手当も外れます。
健康上の理由で管理職の職責を果たせない状態であれば、職位を解くことに一定の合理性があります。安全配慮義務上の措置でありますが、影響が大きい人事権の行使にあたります。必ず本人への丁寧な説明と合意形成をとってください。次の項目が根拠となります。
できれば、復職後の「再昇格のロードマップ」を提示して下さい。
業務軽減を理由として「基本給(基本給の単価)」そのものを下げることは、原則として認められません。職務を変更さぜるを得ないことによる減給は、復職直後では適切ではありません。復職直後は安全配慮義務の履行期間です。「本人の勤務状態が安定し、評価(能力や役割のギャップ)を判定できる状態になったか」という実績とプロセスの蓄積で判断してください。
働く方
軽減して働くということは、労働条件が変わるということです。変わり方には、種類があります。
6時間勤務になったので、その分が減る。これは自然なことです。
会社の規程に「役職手当は、その役職にある人に支給する」と書かれていれば、外れます。役職を外れることは処分ではありません。責任の重い立場が負担になっている場合、健康上の理由でいったん外れることがあります。
精神的負担を軽減するために、専門業務から単純定型業務へ変更など、職種や役割が明確に変わり、それに伴う賃金体系(バンドグレード)の適用変更の場合、基本給そのものが下がります。こういった職務の変更にはあなたの同意が必要です。
②と③は、別の話です。混ざって説明されることがあるので、分けて聞いてください。
場面 5 / 共通の事実
フォローしていた人がいます。
そして、フォローしてくれていた人の負担は、復職してもすぐには軽くなりません。
経営者・人事
見落とされがちなので注意です。
休職中、誰かが仕事を引き受けています。復職しても多くは、フォローしてくれた人の負担はまだ残っています。放置すると、以下のような懸念が出ます。
完全には防げないかもしれませんが、少なくとも無理の連鎖は断ち切り、不公平感のないようにする必要があります。
やることは2つです。
本来一時的な負担のはずなので、その終わりの見通しを伝えてください。もし恒久的な負担増なら、きちんとした担当割り当てが必要です。
また、フォローしたことは、評価の場で扱ってください。事実、その人個人の仕事が増えたのなら、賃金や評価での還元が必要です。
なお、仕事をフォローしてもらうにあたり、本人が自ら話したいと希望している場合を除き、本人の病名や状態を話してはいけません(プライバシー保護)。同僚に共有するのは、業務上の制限とその期間についてだけです。
働く方
「取り返そう」としなくて大丈夫です復職すると、「休んでいる間に周りに迷惑をかけた」「仕事を代わってもらった分を取り戻さなければ」と焦ってしまうかもしれません。
でも、復職は以前と同じ量の仕事をすぐにこなすことではありません。
休職中に周囲が引き受けてくれた仕事を、復職した途端にすべて取り戻そうとすると、無理が重なってしまうことがあります。まずは、今の体調で無理なく続けられるペースをつくることを優先してください。
「申し訳なかった」という気持ちは、無理をすることではなく、安定して働き続けることで十分に返していけます。
体調に変化を感じたときは、「せっかく復職したのだから」と我慢せず、早めに上司や主治医に相談してください。
復職のゴールは、休職前の状態を取り戻すことではありません。
働き続けられる状態をつくることです。
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