再休職の通算規定と傷病手当金|7 再休職|メンタル不調による休職|つくる
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予防 自己点検10問 Switch⇄
時間軸 0 初期異変 1 初動 2 休職前の面談 3 休職中 4 試し出勤 5 復職判定 6 復職直後 7 再休職 8 雇用終了 9 まとめ

Chapter 7 — A second leave

再休職再休職の通算規定と傷病手当金

雇用終了になるかの瀬戸際。

一度で完全に治して復職できることもありますが、会社としては「再休職が起こり得る」という前提で制度・ルールを運用するのが正解です。

いま読んでいるのは 経営者・人事の視点 休職規程にはふたつの側面があります。

場面 1 / 共通の事実

復職後すぐに再休職になる理由

復職したのに、すぐに再び休職になることがあります。周囲や本人の努力不足というより、復職の判断や、復職後の戻し方がうまくかみ合っていなかった場合に起こりやすいです。

経営者・人事

主な理由は、次のようなものです。

1. 生活は戻っていても、仕事に戻れる状態ではなかった

主治医の診断書で「復職可」とされていても、それは日常生活がある程度できる状態を指している場合があります。しかし、会社で働くには、通勤、勤務時間、業務量、人間関係、判断業務、突発対応などが加わります。

そのため、日常生活はできても、仕事の負荷にはまだ耐えられなかった、ということがあります。結果として、無理をしてしまい、再休職につながることがあります。

2. 休職前と同じ負荷に戻すのが早すぎた

復職後は、一定期間、勤務状況や体調を確認する必要がありますが、段階的に戻していきます。休職前と同じ業務量、同じ責任、同じ残業に近づくにつれ、体調が再び崩れることがあります。特に、休職前と同じ原因が残っている場合は注意が必要です。

復職できたことで、早くとり戻そうと、本人もあせって早期に通常勤務へ進めてしまうことがあります。

3. 本人が不調を言い出せなかった

復職後、本人が「また休職になったら迷惑をかける」「評価が下がるかもしれない」と感じ、不調を隠してしまうことがあります。この場合、周囲が気づいたときには、かなり無理をしている状態になっていることがあります。

復職後は、「つらくなったら早めに言ってよい」と伝えておく、いえる環境を作っておくことが大切です。

4. 職場側の受け入れ体制が整っていなかった

復職は、本人だけの問題ではありません。受け入れる職場側にも準備が必要です。

担当業務、業務量、残業の有無、上司との面談頻度、周囲への伝え方などが決まっていないと、現場任せになり、本人にも周囲にも負担がかかります。

再休職を完全に防ぐことはできるのか

再休職を完全に防ぐことはできません。体調には波がありますし、復職して初めて分かる負担もあります。ただし、再休職のリスクを下げることはできます。そのためには、次のような対策が有効です。

—復職前に生活リズムや通勤可能性を確認する
—本人が不調を早めに伝えられる窓口を決める
—復職後の面談日を定期的に持つ
—休職前と同じ原因が残っていないか確認する
—残業や重い業務を再開する時期は先に決める
—復職後の業務量を戻し方を急がない

大切なのは、復職日をゴールにしないことです。復職日は、通常勤務へ戻るためのスタートです。

働く方

復職後、すぐに再休職になることがあります

復職したあと、すぐにもう一度休職になることがあります。

これは、努力が足りないということではありません。まだ仕事に戻るには負担が大きかった、復職後の進め方が合っていなかった、という場合があります。たとえば、次のような理由があります。

—日常生活はできても、仕事の負担にはまだ耐えられなかった
—復職後すぐに、休職前と同じ仕事量に戻ってしまった
—残業や責任の重い仕事を始めるのが早すぎた
—体調が悪くても、言い出せなかった
—受け入れ準備が十分でなかった

復職するときは、いきなり元どおりに働くのではなく、勤務時間、業務量、残業の有無、面談のタイミングなどを会社と確認しておきましょう。

復職日はゴールではありません。通常勤務に戻るためのスタートです。
不安なことや体調の変化があれば、早めに会社へ伝えることが大切です。

場面 2 / 共通の事実

休職前と同じサインが出たとき

再発に至る前には、最初の休職時と似た変化が現れることがあります。周囲が「いつもと違う変化」に早期に気づくことが重要です。

経営者・人事

見るのは、体調ではありません。前回と同じです。勤怠と行動です。遅刻が増える。締切が遅れる。口数が減る。会議で発言しなくなる。休職前に出ていたサインです。

ただし、前回と違うことが一つあります。

今回は、経過を知っています。前回はどのサインから始まったか。どのくらいで悪化したか。「0 初期異変」の記録が残っているはずです。その記録を、いま見返してください。あの時の記録が役に立ちます。

そして、サインが出ていることを確認し、「複数当てはまる」場合は、緊急性の有無を確認し、産業医等へ相談する流れにします。また、再発したことを責めないでください。再休職を前に本人も強い絶望感や自己否定に陥っています。淡々とルールに基づいて手続き(通算期間の確認、傷病手当金の手続きなど)を進め、「まずはしっかり休んでください」と対応するのがベストです。

働く方

休職前と同じ感覚になってきたと感じたら、早めに会社に伝えてください。

夜眠れなくなる。朝が起きられなくなる。集中力が続かなくなる。休職前に出ていた不調が、また出ることがあります。

「せっかく戻ったのだから」と、その感覚を見過ごさないこと。

我慢して限界まで行くと、さらに長い休みを必要としてしまいます。早い段階なら、勤務時間を減らす、業務負担を減らす、ことで持ち直すことがあります。

主治医にも、早めに伝えてください。そして、もう一度休むことになっても、それはやり直しではありません。治療に必要な過程です。

場面 3 / 共通の事実

復帰プロセスの見直し


一度復職したあと、再び休職に入った場合でも、復職の流れは基本的には初回と同じです。ただし、再復職では、前回よりも慎重な確認が必要です。

経営者・人事

最初の復職で再発(再休職)してしまったという事実は、「前回の復職プロセスや負荷の戻し方に、なんら検証すべきことがあった」のかもしれません。

再休職になった理由を確認する
① 復職の時期は、早すぎなかったか

判定の基準を満たしていたか。それとも、本人が「大丈夫です」と言ったから進めなかったか。

② 業務の戻し方は、速すぎなかったか

記録を見返してください。いつ、何を増やしたか。その後、何が起きたか。同じタイミングで落ちているなら、そこが限界点です。

③ 配慮は、実際に守られていたか

書面では残業なしとしていたが、実際はなし崩し的に発生していたことがなかったか。

④ 職場側の要因は、残っていないか

この部分ついて、1回目のときに掘り下げていなかった場合は、必ず掘り下げてください。業務量、特定の相手との関係、顧客対応、今回は確認してください。ここで職場側の要因が見つかった場合、私傷病休職として扱えない場合があります。

労災と認定されれば、休職期間の満了による退職は成り立たなくなります。

再休職の場合、休職期間の通算規定により、残された休職可能期間は非常に短くなっていることが大半です。本人に復職を繰り返せないことを認識してもらうことももちろん、1回目の行動実績から、より厳格な段階的ルールに基づいて復職を判断するが必要になってきます。

働く方

1回目と同じやり方で戻ると、同じことが起きやすいです。見直してほしいのは、あなた自身の記録です。前回、復職してから何が起きたか。

—どのくらいの時期から、きつくなったか
—何が増えたときに、しんどくなってきたか
—我慢していたのは、どの部分か

記録をつけていれば見返してください。つけていなければ思い出せる範囲で構いません。ここが、次の復職計画の材料になります。主治医にも今回の経過を伝えてください。

「復職して2ヶ月目からつらくなってきました」
「時間を8時間に戻した直後でした」

など、具体的なタイミングが分かっていると、判断がしやすくなります。

あなたの体調だけが原因とは限りません
同じ職場で休職を繰り返すことになったときは、体調だけでなく、職場での環境についても一度振り返ってみてください。仕事の量や進め方、特定の人との関係、上司とのやり取り、顧客からの対応など、仕事の中で負担になっていることはありませんか。

職場で起きていることが影響している場合もあります。

会社には話しにくく、伝えることも難しければ、まずは自分のために記録を残しておいてください。日付と、何があったか。後から振り返ったときに、体調の変化と職場で起きていたこととの関係が見えてくることがあります。

場面 4 / 共通の事実

休職期間の計算ルール

休職期間は、就業規則に定められたルールに従って計算します。注意が必要なのは、復職後に再び同じような理由で休職する場合です。この場合、前回の休職期間を今回の休職期間に通算するのか、それとも新たにゼロから数えるのかによって、休職できる期間が大きく変わります。

経営者・人事

通算規定がある場合

就業規則に、次のような定めがある場合があります。

復職後〇か月以内に、同一または類似の傷病により再び休職した場合、前後の休職期間を通算する。

このような通算規定がある場合、前回使った休職期間を差し引いて、今回使える休職期間を計算します。たとえば、休職期間の上限が6か月で、前回すでに4か月休職していた場合、今回使える休職期間は残り2か月です。

この点は、休職に入る時点で本人に必ず説明しておく必要があります。本人が「今回も6か月休職できる」と思っていると、休職期間満了日について大きな認識違いが起きる可能性があります。

通算規定がない場合

就業規則に通算規定がない場合、休職のたびに休職期間がリセットされると解釈される可能性があります。たとえば、休職期間の上限が6か月であっても、6か月休職して復職し、その後また休職した場合に、再び6か月の休職期間が始まるという扱いになり得ます。

この運用が繰り返されると、休職期間の上限が事実上なくなってしまいます。そのため、就業規則に通算規定がない場合は、早めに見直すことをおすすめします。

ATTN

休職中の社員がいる場合の規程改定

休職期間の通算規定がない場合、就業規則を改定して通算規定を設けることは検討できます。ただし、現在すでに休職中の社員がいる場合には注意が必要です。

就業規則を変更すること自体は禁止されていません。しかし、休職期間の短縮、通算規定の新設、退職条件の厳格化などは、労働者にとって不利益な変更となる可能性があります。そのため、改定後のルールを現在休職中の社員にそのまま適用できるかどうかは、慎重に判断する必要があります。

実務上は、次のような経過措置を設けることが考えられます。

現在休職中の者については、改定前の旧規程を適用する。
または、一定期間は旧規程を適用する。

就業規則を見直す場合には、将来の運用だけでなく、現在休職中の社員への適用関係も整理しておくことが重要です。

「同一または類似の傷病」と書かれているか

通算規定では、「同一または類似の傷病」という表現にしておくことが重要です。たとえば、1回目の休職では「適応障害」と診断され、2回目の休職では「うつ病」と診断される場合があります。

このとき、診断名が違うからといって、必ず別の傷病として扱えるわけではありません。一方で、会社が診断名だけを見て、独断で「同一である」「別の傷病である」と判断することも適切ではありません。

判断が必要な場合は、産業医や専門医の医学的見解を確認し、実質的に同一または連続した状態といえるかを慎重に判断します。

ATTN

「同一の傷病に限る」という規定は見直しが必要

現在の就業規則が「同一の傷病に限る」という表記になっている場合は、注意が必要です。診断名が変わっただけで休職期間がリセットされるように見えてしまい、本人にも人事にも誤解を与える可能性があります。

実際には、診断名だけでは判断できないケースも多いため、通算対象を「同一または類似の傷病」としておく方が、実務上は扱いやすくなります。

休職に入る時点で本人に伝えること

休職期間の計算ルールは、休職開始時と休職期間満了時の判断に直結します。そのため、休職に入る時点で、次の点を本人に明確に伝えておくことが大切です。

—今回の休職期間はいつから始まるのか
—休職期間満了日はいつか
—前回の休職期間と通算されるのか
—今回使える休職期間は何か月か
—満了日までに復職できない場合、どうなるのか

休職期間の計算があいまいなままだと、復職判断や自然退職・解雇の場面で大きなトラブルにつながります。

就業規則の定めを確認し、通算規定の有無、対象となる傷病の範囲、現在休職中の社員への適用関係を整理しておくことが重要です。

働く方

休職できる期間を確認しておきましょう

休職できる期間は、会社の就業規則によって異なります。
特に注意したいのが、一度復職した後に、再び休職する場合です。

会社の規則によっては、前回の休職期間と今回の休職期間を通算する場合があります。
たとえば、休職できる期間が6か月で、前回4か月休職していた場合、今回使える期間が残り2か月となることがあります。一方で、再休職したときに新たに休職期間を計算する規則になっている場合もあります。

そのため、休職に入る前に会社へ、以下点を確認しておきましょう。

「今回の休職はいつから始まるのか」
「休職期間満了日はいつか」
「前回の休職期間と通算されるのか」
「満了日までに復職できなかった場合はどうなるのか」

場面 5 / 共通の事実

傷病手当金の扱い

傷病手当金は、病気やけがで仕事を休み、会社から十分な給与を受けられない場合に、健康保険から支給される制度です。支給期間は、同一の病気やけがについて、通算して1年6か月です

経営者・人事

傷病手当金の支給期間は通算される

2022年1月から、傷病手当金の支給期間の考え方が変わりました。以前は、支給開始日から1年6か月が経過すると、その間に復職して働いていた期間があると、支給期間が終了していました。

現在は、実際に傷病手当金が支給された期間を通算して1年6か月まで受けられる仕組みです。復職して働いていた期間は、支給期間としてカウントされません。

たとえば、前回の休職で傷病手当金を8か月受け取っていた場合、同じ病気や関連する病気で再び休職したときに使える残り期間は、原則として10か月です。

休職期間とは別に考える

会社の休職期間と、健康保険の傷病手当金の支給期間は別の制度です。会社の休職期間は、就業規則で決まります。一方、傷病手当金は健康保険の制度として、保険者が支給可否や残り期間を判断します。

そのため、会社の休職期間が残っていても、傷病手当金の残り期間が少ない場合があります。逆に、傷病手当金の残り期間があっても、会社の休職期間が満了する場合もあります。

休職に入るときは、会社の休職期間だけでなく、傷病手当金をすでにどのくらい受け取っているかも確認しておくことが大切です。

診断名が変わっても、別の傷病とは限らない

傷病手当金では、診断書に書かれた病名だけで、前回と別の病気かどうかを判断するわけではありません。

たとえば、前回は「適応障害」、今回は「うつ病」と診断名が変わることがあります。この場合でも、医学的な原因や病状の流れがつながっていると判断されれば、同一または関連する傷病として扱われ、支給期間が通算されることがあります。

つまり、病名が変わったからといって、必ず新たに1年6か月分の傷病手当金が使えるわけではありません。

新たな傷病として扱われる場合もある

一方で、前回の病気がいったん落ち着き、一定期間、通院や服薬もなく、通常どおり働けていた場合には、医学的または社会的に治癒したと判断されることがあります。その後、再び同じような病名で休むことになった場合でも、過去の傷病とは別の傷病として扱われる可能性があります。

ただし、この判断は会社が決めるものではなく、保険者が、治療の経過、通院状況、服薬状況、就労状況、期間などを見て個別に判断します。同一疾病かどうかや治癒の判断は、医学的判断だけでなく、社会通念上治癒したといえるかも含めて扱われる考え方が示されています。

本人への説明で伝えておきたいこと

休職に入るときは、本人に次の点を説明しておくとよいでしょう。

—傷病手当金は、同一傷病について通算1年6か月であること
—前回受け取った期間がある場合、その分は差し引かれること
—復職して働いていた期間は、原則として支給期間にカウントされないこと
—診断名が変わっても、同一または関連する傷病と判断される場合があること
—最終的な支給可否や残期間は、加入している健康保険の保険者が判断すること

休職期間と傷病手当金の期間は、どちらも本人の生活に大きく関わります。

休職開始時には、会社の休職期間だけでなく、傷病手当金の残り期間についても、本人が確認できるよう案内しておくことが重要です。

働く方

傷病手当金は「休職期間」とは別のルールです

傷病手当金は、病気やけがで仕事を休み、給与が十分に受けられないときに、健康保険からお金が支給される制度です。同じ病気やけがについて、支給された期間を通算して1年6か月まで受け取ることができます。

たとえば、前回の休職で傷病手当金を8か月受け取っていた場合、同じ病気や関連する病気で再び休むと、原則として残りは10か月です。途中で復職して働いた期間は、傷病手当金の支給期間には含まれません。

会社の「休職できる期間」と傷病手当金の「支給できる期間」は別のものです。休職できる期間が残っていても、傷病手当金の残りが少ない場合があります。

また、診断名が変わったとしても、必ず新たに1年6か月分受け取れるわけではありません。同じ病気や関連する病気と判断される場合もあるし、別の病気と判断されることもあります。それは健康保険の保険者が治療の経過などを確認して判断します。

休職するときは、会社の休職期間だけでなく、傷病手当金をこれまで何か月受け取っているかも確認しておきましょう。

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雇用終了

休職期間満了の処理。自然退職・解雇・自己都合退職で何が違うか。

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Author

千葉若菜

千葉若菜 特定社会保険労務士

エンタメ専門社労士事務所 つくる Creative Workforce Support
音楽業界歴20年の社労士

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