メンタル不調の休職・復職手続き全体像|9 まとめ|メンタル不調による休職|つくる
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時間軸 0 初期異変 1 初動 2 休職前の面談 3 休職中 4 試し出勤 5 復職判定 6 復職直後 7 再休職 8 雇用終了 9 まとめ

Chapter 9 — In summary

まとめメンタル不調の休職・復職手続き全体像

見ている地図が、少し違う

ここまで、9つの局面を見てきました。
どの場面でも、手がかりになるのは、

「就業規則に、どのように書かれているか」

ということです。
法律は、休職できる期間や復職の判断、再休職の取り扱いまでを、一律には決めていません。具体的なルールは、それぞれの会社が就業規則で定めています。定めがなければ、いざというときに判断が揺れ、会社も働く方も不安になってしまいます。

休職制度は、会社だけを守るものでも、働く方だけを守るものでもありません。お互いが安心して次の一歩を考えるための仕組みです。

会社は、何かが起きる前にルールを整えておく。

働く方は、大きな決断をする前に制度を確かめておく。

まず就業規則を整え、そして復職支援プログラムを予め整えておくことが、安心につながるでしょう。

ぜひチェックリストをやってみてください。

自己点検10問をはじめる→

登録不要・所要3分。自社の就業規則に欠けている条項が分かります。

全体像

通しで見ると、何が起きているか

9つの局面を、一枚にしました。

全体図 9つの局面が縦に並び、初期異変・最初の面談・休職中・復職準備の4か所から雇用終了への出口が分かれる。再休職は休職中へ戻る道を持ち、復職直後から完全復職に至る経路もある。 0初期異変 1初動 2最初の面談 3休職中 4試し出勤 5復職判定 6復職直後 7再休職 8雇用終了 完全復職
進行と復帰 雇用終了への出口 戻り道 各局面にカーソルを合わせるとリンクになります
お金のつながり 有給・休職・傷病手当金の接続

在職中

01 給与

働いている期間は
会社から給与を受け取る

通常勤務
02 年次有給休暇

休んでも有給の賃金が
支払われる期間

残日数の範囲
03 休職 + 傷病手当金

給与が出ない・少ない期間を
健康保険の給付が支える

支給開始日から通算1年6か月
退職 雇用関係は終了

退職後

04 退職後の継続給付

一定の要件を満たせば
退職後も傷病手当金の支給

在職中からの残りの期間
その後の生活を支える制度 状態に応じて、それぞれ申請
失業給付

求職の意思・能力があり
仕事を探す期間

働ける状態のとき
障害年金

初診日・保険料・障害状態
などの要件を確認

1年6ヶ月を経てなお、働けない場合

傷病手当金と失業給付はいずれか一方になります。

1 有給休暇を取得している日は、傷病手当金は満額では受け取れません。 給与が傷病手当金より少ない場合は、差額支給となることがあります。
2 傷病手当金は、退職後、自動継続ではありません。 被保険者期間や退職日時点の状態など、所定の要件確認が必要です。
3 働ける状態でない場合、失業給付は原則受けられません。 30日以上働けない場合は、受給期間延長の手続きを検討します。

Programme — 制度設計

復職支援プログラムの作成手順

復職支援プログラムは、休職者が出てからその場で考えるものではありません。

メンタルヘルス不調による休職を会社としてあらかじめ「誰が、いつ、何を確認し、どのように復職を判断するのか」を決めておくことです。

本人の体調、主治医の診断書、産業医の意見、職場の受け入れ体制、復職後のフォローを順番に確認していく必要があります。

1. 現状を把握する

まず、自社の現状を確認します。確認するのは、現在すでにある制度や体制です。

たとえば、休職・復職に関する就業規則、過去の休職対応の記録、産業医や保健師などの産業保健スタッフの有無、相談窓口の有無、衛生委員会や復職委員会の有無などです。

最初から新しい制度をすべて作ろうとするのではなく、すでに社内にある規程、担当者、過去の対応例を確認し、それをもとに整理していくことが現実的です。

2. 担当者と役割を決める

次に、復職支援に関わる担当者を決めます。復職支援は、人事担当者だけ、または現場の上司だけで進めるものではありません。

経営層、人事労務担当者、産業医、産業保健スタッフ、メンタルヘルス推進担当者、管理監督者などが、それぞれの役割を持って関わります。

特に、本人への連絡窓口は一本化しておくことが重要です。複数の人から別々に連絡が入ると、本人の負担が大きくなり、会社側の情報管理も混乱しやすくなります。

3. 就業規則との関係を確認する

復職支援プログラムは、会社の就業規則や休職規程と矛盾しないように作成します。休職期間、休職中の給与、診断書の提出、復職判断、試し出勤やリハビリ勤務の扱いなどは、就業規則と関係します。

運用マニュアルとして作る場合でも、実際の職場慣行や会社のルールと合っているかを確認します。就業規則の変更や別規程の作成が必要な場合には、慎重に検討する必要があります。

4. 復職までの流れを5つの段階で整理する

復職支援は、次の5つの段階で整理すると分かりやすくなります。

第1段階:休職開始時と休職中のケア

休職開始時には、本人が安心して療養できるように、休職制度、休職できる期間、休職中の収入、連絡方法、復職の条件、相談先などを説明します。

また、休職中は定期的に連絡や面談を行い、療養状況や今後の見込みを確認します。連絡窓口はできるだけ一人に決めておきます。

第2段階:主治医による復職可能の判断

本人が復職を希望する場合は、主治医による復職可能の診断書を提出してもらいます。

ただし、主治医の診断書だけでは、会社の具体的な業務に耐えられるかまで分からないことがあります。そのため、本人の同意を得たうえで、主治医から追加情報を得たり、産業医が本人と面談したりして、働ける状態かを確認します。

第3段階:復職可否の判断と復職支援プランの作成

次に、復職先の職場が受け入れられる状態かを確認します。本人の状態、生活リズム、主治医の意見、産業医の意見、職場の受け入れ体制を踏まえ、復職できるかどうかを判断します。

必要に応じて、通勤訓練、模擬出勤、試し出勤などを活用し、復職後の勤務条件や配慮内容を整理します。そのうえで、本人や管理監督者と相談しながら、復職支援プランを作成します。

5. 最終的な復職決定を行う

復職可否の最終判断は、主治医や産業医が単独で決めるものではありません。主治医の診断書、産業医の意見、本人の状態、職場の受け入れ体制を踏まえ、最終的には会社が判断します。

復職委員会を設けている場合は、関係者で検討したうえで、本人に復職可否や復職後の配慮内容を伝えます。

6. 復職後のフォローアップを行う

復職は、出社できたら終わりではありません。復職後も、本人の体調、勤怠、業務遂行状況、職場での負担を確認します。必要に応じて、本人、上司、人事担当者、産業医などで面談を行い、業務量や勤務時間、配慮内容を見直します。

特に、短時間勤務から通常勤務へ戻す場合、時間外労働や出張を再開する場合などは、産業医面談を行い、無理なく勤務を続けられるかを確認することが望ましいです。

7. 試行し、見直す

復職支援プログラムは、作って終わりではありません。実際に休職者がいる場合は、そのプログラムに沿って運用し、問題点がないかを確認します。休職者がいない場合でも、仮のケースを想定して試行しておくことで、手続きの抜けや担当者の役割のあいまいさに気づきやすくなります。

復職支援プログラムで大切なのは、「復職できるかどうか」をその場の印象や担当者の判断だけで決めないことです。

休職開始時の説明、休職中の連絡、主治医・産業医との連携、復職支援プラン、職場の受け入れ、復職後のフォローまでを一連の流れとして整理しておくことで、本人にとっても会社にとっても、安心して復職を進めやすくなります。

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Author

千葉若菜

千葉若菜 特定社会保険労務士

エンタメ専門社労士事務所 つくる Creative Workforce Support
音楽業界歴20年の社労士

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