つくる
エンタメ専門社労士事務所
Creative Workforce Support
メンタル不調 休職・復職ガイド|会社の対応と制度設計
Chapter 9 — In summary
ここまで、9つの局面を見てきました。
どの場面でも、手がかりになるのは、
「就業規則に、どのように書かれているか」
ということです。
法律は、休職できる期間や復職の判断、再休職の取り扱いまでを、一律には決めていません。具体的なルールは、それぞれの会社が就業規則で定めています。定めがなければ、いざというときに判断が揺れ、会社も働く方も不安になってしまいます。
休職制度は、会社だけを守るものでも、働く方だけを守るものでもありません。お互いが安心して次の一歩を考えるための仕組みです。
会社は、何かが起きる前にルールを整えておく。
働く方は、大きな決断をする前に制度を確かめておく。
まず就業規則を整え、そして復職支援プログラムを予め整えておくことが、安心につながるでしょう。
ぜひチェックリストをやってみてください。
自己点検10問をはじめる→登録不要・所要3分。自社の就業規則に欠けている条項が分かります。
全体像
9つの局面を、一枚にしました。
在職中
働いている期間は
会社から給与を受け取る
休んでも有給の賃金が
支払われる期間
給与が出ない・少ない期間を
健康保険の給付が支える
退職後
一定の要件を満たせば
退職後も傷病手当金の支給
求職の意思・能力があり
仕事を探す期間
初診日・保険料・障害状態
などの要件を確認
傷病手当金と失業給付はいずれか一方になります。
Programme — 制度設計
復職支援プログラムは、休職者が出てからその場で考えるものではありません。
メンタルヘルス不調による休職を会社としてあらかじめ「誰が、いつ、何を確認し、どのように復職を判断するのか」を決めておくことです。
本人の体調、主治医の診断書、産業医の意見、職場の受け入れ体制、復職後のフォローを順番に確認していく必要があります。
1. 現状を把握するまず、自社の現状を確認します。確認するのは、現在すでにある制度や体制です。
たとえば、休職・復職に関する就業規則、過去の休職対応の記録、産業医や保健師などの産業保健スタッフの有無、相談窓口の有無、衛生委員会や復職委員会の有無などです。
最初から新しい制度をすべて作ろうとするのではなく、すでに社内にある規程、担当者、過去の対応例を確認し、それをもとに整理していくことが現実的です。
2. 担当者と役割を決める次に、復職支援に関わる担当者を決めます。復職支援は、人事担当者だけ、または現場の上司だけで進めるものではありません。
経営層、人事労務担当者、産業医、産業保健スタッフ、メンタルヘルス推進担当者、管理監督者などが、それぞれの役割を持って関わります。
特に、本人への連絡窓口は一本化しておくことが重要です。複数の人から別々に連絡が入ると、本人の負担が大きくなり、会社側の情報管理も混乱しやすくなります。
3. 就業規則との関係を確認する復職支援プログラムは、会社の就業規則や休職規程と矛盾しないように作成します。休職期間、休職中の給与、診断書の提出、復職判断、試し出勤やリハビリ勤務の扱いなどは、就業規則と関係します。
運用マニュアルとして作る場合でも、実際の職場慣行や会社のルールと合っているかを確認します。就業規則の変更や別規程の作成が必要な場合には、慎重に検討する必要があります。
4. 復職までの流れを5つの段階で整理する復職支援は、次の5つの段階で整理すると分かりやすくなります。
第1段階:休職開始時と休職中のケア休職開始時には、本人が安心して療養できるように、休職制度、休職できる期間、休職中の収入、連絡方法、復職の条件、相談先などを説明します。
また、休職中は定期的に連絡や面談を行い、療養状況や今後の見込みを確認します。連絡窓口はできるだけ一人に決めておきます。
第2段階:主治医による復職可能の判断本人が復職を希望する場合は、主治医による復職可能の診断書を提出してもらいます。
ただし、主治医の診断書だけでは、会社の具体的な業務に耐えられるかまで分からないことがあります。そのため、本人の同意を得たうえで、主治医から追加情報を得たり、産業医が本人と面談したりして、働ける状態かを確認します。
第3段階:復職可否の判断と復職支援プランの作成次に、復職先の職場が受け入れられる状態かを確認します。本人の状態、生活リズム、主治医の意見、産業医の意見、職場の受け入れ体制を踏まえ、復職できるかどうかを判断します。
必要に応じて、通勤訓練、模擬出勤、試し出勤などを活用し、復職後の勤務条件や配慮内容を整理します。そのうえで、本人や管理監督者と相談しながら、復職支援プランを作成します。
5. 最終的な復職決定を行う復職可否の最終判断は、主治医や産業医が単独で決めるものではありません。主治医の診断書、産業医の意見、本人の状態、職場の受け入れ体制を踏まえ、最終的には会社が判断します。
復職委員会を設けている場合は、関係者で検討したうえで、本人に復職可否や復職後の配慮内容を伝えます。
6. 復職後のフォローアップを行う復職は、出社できたら終わりではありません。復職後も、本人の体調、勤怠、業務遂行状況、職場での負担を確認します。必要に応じて、本人、上司、人事担当者、産業医などで面談を行い、業務量や勤務時間、配慮内容を見直します。
特に、短時間勤務から通常勤務へ戻す場合、時間外労働や出張を再開する場合などは、産業医面談を行い、無理なく勤務を続けられるかを確認することが望ましいです。
7. 試行し、見直す復職支援プログラムは、作って終わりではありません。実際に休職者がいる場合は、そのプログラムに沿って運用し、問題点がないかを確認します。休職者がいない場合でも、仮のケースを想定して試行しておくことで、手続きの抜けや担当者の役割のあいまいさに気づきやすくなります。
復職支援プログラムで大切なのは、「復職できるかどうか」をその場の印象や担当者の判断だけで決めないことです。
休職開始時の説明、休職中の連絡、主治医・産業医との連携、復職支援プラン、職場の受け入れ、復職後のフォローまでを一連の流れとして整理しておくことで、本人にとっても会社にとっても、安心して復職を進めやすくなります。
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