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エンタメ専門社労士事務所
Creative Workforce Support
メンタル不調 休職・復職ガイド|会社の対応と制度設計
Chapter 8 — End of employment
残念ながら会社を去る場合。
休職における雇用終了には「自然退職」と「解雇」、そして「合意退職」が考えられます。就業規則の規定によって全く扱いが異なります。いずれにしても手続きの客観性を証明する記録を残します。
場面 1 / 共通の事実
満了日とは、会社の就業規則などで定められた休職できる期間が終了する最後の日のことです。
経営者・人事
満了日が近づいたら書面で通知する満了日は、定期連絡時に都度必ず残日数を伝えるようにしてください。そのうえで期限がいよいよ近づいたら、改めて本人に書面で通知します。
書面には、少なくとも次の内容を記載します。
後から「聞いていなかった」「期限を知らなかった」という認識違いが起きないよう、書面で明確に伝えることが重要です。
改めて復職の意思を確認する満了日が近づいたら、本人に復職の意思があるかを確認します。復職を希望する場合は、いつまでに何を提出し、どのような手続きが必要かを具体的に案内します。
一般的には、次のような流れになります。
これだけでも、1〜2か月かかることがあります。満了日の1か月前になって初めて動き始めると、物理的に間に合わない場合があります。
特に、本人が復職を希望していたにもかかわらず、会社側の案内や段取りが遅れたために判定が間に合わなかった場合、休職期間満了による退職扱いの有効性に疑問が生じる可能性があります。そのため、満了日が近づいてからではなく、少なくとも2か月前から、復職判定までの流れを確認しておくことが望ましいです。
職場側に原因がなかったかを確認する休職期間満了により退職や解雇の扱いを検討する前に、職場側に原因がなかったかを確認します。たとえば、次のような事情です。
もし、休職の原因が業務に関係している可能性がある場合は、特に慎重な判断が必要です。
業務上の疾病と認定される可能性が残っている場合、休職期間満了による退職扱いをしても、後からその有効性が問題になることがあります。
休職期間満了は、本人の雇用に大きく関わる重要な場面です。満了日前から十分な案内を行い、必要な手続きへ接続させることが大切です。
働く方
自分の満了日を、いまいちど確認してください。書面で届いているはずです。明確な日付がもし分からなければ、必ず会社に確認しましょう。
復職の段取りとして、まず診断書が必要です。診断書をもとに会社が復職の判断をするまでに1ヶ月以上かかる場合もあります。満了日の直前に診断書を提出しても手続きが間に合わないことがあるので、診断書の提出日も併せて確認してください。
あるいは、復職を希望しない場合も、会社に申し出てください。休職前のような働き方ではない働き方の選択肢があるかもしれません。
いずれも満了期限が来てからでは相談できません。
場面 2 / 共通の事実
経営者・人事
合意不要であっても、本人が客観的に見て復職できない状態であったことを会社側が証明する必要があります。
満了日の1〜2ヶ月前に「休職期間満了に関する事前通知」を送り、満了日までに「復職希望の有無」と「主治医の診断書(復職可否)」を提出してもらう。
本人が「復職不可(治っていない)」と認めている場合、主治医の「復職不可」の診断書と、本人の「まだ働けない」という意向を確認し記録する。
人事・経営陣・産業医で復職判定を行い、「復職不可」を正式決定する。
判定結果に基づき、満了日をもって自然退職となる旨を書面で通知します。就業規則第○条に基づき、○年○月○日をもって休職期間が満了したこと、および復職基準を満たさなかったため同日をもって「自然退職(自動退職)」となった旨を明記します。
送付方法は、トラブル防止のため、到達確認ができる配達証明付き内容証明郵便または特定記録郵便などで本人自宅へ送付します。
この通知書は「就業規則に定められた条件(満了および復職不可)が満たされたため、退職という事実が成立したこと」を会社から一方的に知らせる通知なので、同意は不要ですが、通知が到達(効力が発生した)という法的証拠は必要です。本人に直接渡す場合は、受領印(署名)をもらってください。
働く方
会社の規程に「休職期間が終わっても復職できない場合は自然退職とする」と書かれている場合、期間が満了したことで、雇用関係が終了します。
休職期間満了による自然退職について場面 3 / 共通の事実
経営者・人事
解雇の手続きが必要です。
少なくとも30日前に予告してください。予告しない場合は、30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。予告の日数が足りない場合、その不足日数分の手当が必要です。
客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められなければ、無効になります。ここで問われるのは、そして「解雇回避(退職回避)努力」が非常に重要視されます。会社が何をしたかです。
「期間が満了したから」は、理由になりません。
地位確認を求められた場合、雇用が続いていたことになります。解決できるまでの期間の未払い賃金を、遡って支払うことになる可能性があります。解決までに1年かかれば1年分となります。
業務上の負傷や疾病の療養のために休業する期間と、その後30日間は、解雇が制限されています。
「自然退職」と「解雇」では、雇用契約が終了する仕組みが、まるで違います。
働く方
会社の規程に「休職期間が終わっても復職できない場合は解雇とする」と書かれている場合、次のことを確認してください。
確認してほしいこと解雇には、30日前の予告か、30日分以上の手当が必要です。「今日で解雇です」と言われて、手当の説明がない場合は、確認してください。
解雇の理由を記載した証明書は、請求できます。会社は交付しなければなりません。後の手続きでも、万が一争うことになった場合でも、必要になります。
客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない解雇は、無効になります。判断されるのは、あなたの状態だけではありません。会社が何をしたかも見られます。十分な休職期間があったか。復職に向けた配慮があったか。軽減した働き方で戻る検討がされたか。
業務上の病気の療養中は、解雇が制限されています。心当たりがある場合は、然るべき機関へ相談してください。
場面 4 / 共通の事実
合意退職(退職勧奨)は、会社が労働者に退職してはどうかと提案し、双方の意思で決まるものです。応じるかどうかは労働者の自由意志であり、納得できなければ退職する必要はありません。
経営者・人事
話し合って終了する道本人と会社が話し合い、双方が納得したうえで退職日や条件を決める場合には、合意退職という形をとることもあります。
ただし、合意退職は「本人が自由な意思で退職に同意していること」が前提です。会社が退職を強く迫ったり、「退職しなければ解雇する」と不正確に伝えたりして、本人の自由な意思を妨げてはなりません。
やってはいけないこと労働者の自由な意思決定を妨げる退職強要は、退職の合意自体が無効になることがあります。
合意退職が考えられるケース休職満了時に合意退職が考えられるのは、たとえば次のような場合です。
いずれにしても、本人が自由な意思で退職に同意していること、退職以外の選択肢を説明していること、復職可能性を必要な範囲で確認していること、退職条件を明確にしていることが重要です。
働く方
満了を待たずに、話し合って辞めるという選択もあります。
個別に条件を決められるという利点があります。納得がいかない場合は応じる必要はありません。強要や脅迫を感じた場合は、然るべき機関に相談しましょう。
話し合える要項退職は大きな決断です。家族や信頼できる第三者に相談してから決めてください。
これらは、退職を強要していると判断される、違法行為です。
退職勧奨に応じた退職は、原則として「会社都合退職(特定受給資格者)」となります。離職理由により、失業給付の扱いが変わることがありますので、実際に発行された離職票の離職理由に認識違いがある場合は、ハローワークで相談できます。
場面 5 / 共通の事実
通常の自己都合退職とほぼ同じです。
療養に伴い、扱いがかわる部分がいくつかあります。
経営者・人事
休職を経て退職する場合の会社側の手続き休職期間満了により退職する場合や、本人と会社の合意により退職する場合でも、退職後の社会保険・雇用保険の手続きは、基本的には通常の退職と同じです。
会社は、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の資格喪失手続きを行い、本人には退職後の健康保険や失業給付、傷病手当金に関する案内を行います。
退職後の健康保険を案内する退職すると、在職中の健康保険の資格を失います。そのため、退職後は次のいずれかの健康保険に加入することになります。
協会けんぽでは、退職後の健康保険の選択肢として、任意継続、国民健康保険、家族の健康保険の被扶養者の3つを案内しています。任意継続を希望する場合は、退職日の翌日から20日以内に申出書を提出する必要があります。
なお、退職後に家族の扶養に入る場合、傷病手当金の受給額が扶養の収入基準に影響することがあります。本人には、加入先の健康保険に確認するよう案内しておくとよいでしょう。
傷病手当金を退職後も受け取る場合退職後も、一定の要件を満たす場合には、傷病手当金を継続して受け取れることがあります。退職後の継続給付を受けるには、退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること、退職日時点で傷病手当金を受けている、または受けられる状態であることなどが必要です。
傷病手当金の支給期間は、同一の病気やけがについて、実際に支給された期間を通算して1年6か月です。休職中にすでに受給していた期間がある場合、その期間を含めて残り期間を確認します。
傷病手当金の申請は、退職後は会社ではなく、本人が行う手続きになります。
ただし、退職日を含む期間について申請する場合には、会社が勤務状況や賃金支給状況を証明する必要があります。退職日以降の期間だけを申請する場合は、通常、退職後の期間について会社が勤務状況を証明することはありません。
見落としやすいポイント
退職日には勤務させない実務上、見落としやすいのが退職日の扱いです。傷病手当金は、退職後も継続して受け取れる場合がありますが、退職後の継続給付を受けるには、退職日時点で働けない状態であることが前提になります。
協会けんぽも、退職日に出勤した場合は、資格喪失後の傷病手当金の継続給付を受ける条件を満たさないため、退職日の翌日以降の傷病手当金は支給できないとしています。そのため、退職日には勤務させないようにします。
たとえ挨拶や貸与物の返却、私物整理のための出社であっても、出勤として扱われるおそれがあります。貸与物の返却や書類のやり取りは、郵送など別の方法を検討します。
退職後に失業給付を受ける場合は、会社は通常どおり離職票を発行します。離職理由は、実態に即して記載します。自然退職、合意退職、退職勧奨、本人都合など、実際の経緯と異なる理由で処理しないことが重要です。
病気や体調不良を理由とする退職が、特定理由離職者や特定受給資格者に該当するかどうかは、会社が最終判断するものではありません。ハローワークが、離職票や本人からの申出、事情を確認して判断します。
なお、失業給付は、就職する意思と能力があり、いつでも就職できる状態にある人が対象です。病気やけがですぐに働けない場合は、受給期間延長の手続きが必要になることがあります。ハローワークでは、病気やけがで引き続き30日以上働けない場合、受給期間を延長できると案内しています。
そのため、退職時点でまだ働けない状態の場合だとしても、本人にハローワークへ相談するよう案内しておくとよいでしょう。
退職時に案内しておきたいこと休職を経て退職する場合は、本人が療養中であることも多く、通常の退職よりも手続きの理解が難しい場合があります。会社は、次の点を整理して案内しておくとよいでしょう。
休職を経た退職では、退職日そのものだけでなく、退職後の健康保険、傷病手当金、失業給付の扱いが本人の生活に大きく影響します。
働く方
休職を経て退職する場合の手続き休職したあとに退職する場合は、退職後の健康保険、傷病手当金、失業給付、年金の手続きが必要になります。
体調が万全でない時期に、いろいろな手続きを一度に進めるのは大変です。分からないことは、会社、健康保険、ハローワーク、年金事務所に早めに確認しましょう。
1. 傷病手当金は、退職後も続く場合があります退職後も、条件を満たせば、傷病手当金を引き続き受け取れることがあります。傷病手当金は、在職中に受給していた期間を通算して1年6か月まで受け取れます。
ただし、退職後も傷病手当金を続けて受け取る場合は、退職日の扱いに注意が必要です。
退職日に出勤すると、退職後の傷病手当金を受け取る条件を満たさなくなることがあります。「挨拶に行くだけ」「荷物を取りに行くだけ」「貸与物を返すだけ」、このような場合でも、出勤扱いになるおそれがあります。
必要な用事がある場合は、退職日より前に済ませるか、郵送など別の方法を会社に相談しましょう。
傷病手当金は、病気やけがで働けない人のための制度です。一方、失業給付は、働く意思と能力があり、すぐに就職できる状態にある人が対象です。つまり、まだ療養中で働けない状態の場合は、通常、失業給付をすぐに受ける状態ではありません。
この場合は、失業給付を受け取れる期間を先に延ばす「受給期間延長」の手続きを検討します。病気やけがなどで30日以上働くことができない場合、受給期間を延長できることがあります。申請が遅いと、回復したときに受け取れる期間が短くなることがあります。退職後、早めにハローワークで確認しましょう。
3. 離職票の記載を確認してください退職後、会社から離職票が届いたら、離職理由の記載を確認してください。病気や体調不良により仕事を続けることが難しくなった退職は、「正当な理由のある自己都合退職」と扱われる場合があります。該当するかどうかは、ハローワークが事情を確認して判断します。
離職票の理由が、自分の認識と違う場合は、ハローワークに申し出ることができます。
失業給付は、7日間の待期期間は共通でありますが、退職理由によって給付制限の期間が異なります。病気による退職がどう扱われるかは、離職票や本人の事情をもとに判断されます。届いた離職票は、そのままにせず、必ず内容を確認しましょう。
4. 健康保険と年金の手続きが必要です退職すると、会社で入っていた健康保険の資格を失います。退職後の健康保険は、主に次の3つから選びます。
任意継続を希望する場合は、退職日の翌日から20日以内に手続きが必要です。
どれを選ぶかによって、保険料が大きく変わることがあります。退職後も傷病手当金を受け取る場合は、扶養の範囲を超えてしまうかもしれません。家族の扶養を考えている場合は、家族の勤務先や健康保険に確認しましょう。
退職後すぐに次の会社に入らない場合は、国民年金への切り替えが必要です。収入がなく、保険料の支払いが難しい場合は、国民年金保険料の免除や納付猶予を申請できる場合があります。
5. 長く療養が続く場合傷病手当金は、同じ病気やけがについて、通算1年6か月で終了します。その後も働けない状態が続く場合は、障害年金という制度があります。
障害年金では、原則として、病気やけがで初めて医師の診療を受けた日から1年6か月を過ぎた日が「障害認定日」とされます。「1年6か月たてば必ず受け取れる」という制度ではありませんが、初診日、保険料の納付状況、障害の程度などの要件に当てはまれば、受給が可能です。自身が該当するかどうかは、年金事務所や市区町村の年金窓口で確認できます。
休職後に退職する場合は、退職後の生活に関わる手続きが多くあります。体調が悪い時期に、一人で全部を判断するのは大変ですが、会社から届いた書類を確認しながら、健康保険、ハローワーク、年金事務所に早めに相談しておきましょう。
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