1. KGIとKPIを分ける
KGI:(Key Goal Indicator)
最終的に達成したい成果
- 必要な職種・人数を期限内に採用する
- 採用したい層からの応募を増やす
- 採用後の認識違いや早期離職を減らす
- 採用単価を適正化する
- 自社に合う人材との接点を増やす
SNSだけでなく、処遇、求人内容、採用サイト、求人媒体、選考、応募者対応などを含めた採用活動全体の成果です。
KPI:(Key Performance Indicator)
KGIに近づいているかを確認する指標
- 採用したい層へのリーチ
- 投稿の保存・シェア
- 動画の視聴時間・視聴完了率
- プロフィール閲覧
- 採用サイトへのリンククリック
- SNS経由のサイト訪問
- 社名・サービス名の検索増加
- SNSを見た応募者の割合
SNSのKPIは、応募の一つ手前にある「認知」「興味」「確認」「サイトへの移動」を中心に設計します。
例:「3か月で応募10件」とせず、役割ごとに分ける
2. 応募数=KPIではない
採用SNSを始めると、「何件応募が来たのか」「SNSから何人採用できたのか」という数字を求めたくなります。しかし、SNSだけに応募数を背負わせると、運用の評価を誤ります。
求職者は、SNSの投稿を見てすぐ応募するとは限りません。会社名を検索し、採用サイトを読み、求人媒体で条件を確認し、他社と比較してから応募します。SNSを見た後、検索や求人媒体を経由して応募すれば、計測上は「SNSからの応募」に見えないこともあります。
SNSの主な役割は、会社を知ってもらい、興味を持ってもらい、検索や比較の段階で信頼を補強することです。
求職者の段階ごとに見る
3. 上位表示
・インターネットの場合
SEO(検索エンジン最適化)とは
Search Engine Optimization の略。Googleなどのサーチエンジンで検索されたときに、上位に表示されるよう工夫すること。
例
「老舗 和菓子 東京」で検索 → 自社ページが上位に出れば来店や問い合わせ増加
これは、目的がハッキリしているユーザー(顕在層)に向けた施策。
SNSの場合、まずは潜在層に対しての施策になります。
・SNSの場合
アルゴリズム
反応が多いか?
いいね・コメント・シェアが多い → 表示されやすい
見た人が長く見ているか?
動画なら「最後まで見られた」 → 高評価
あなたの興味に合っているか?
過去に見ていたものと、類似のものが出やすい → サジェスト(おすすめ)
投稿の鮮度
新しい投稿は優先的に上位表示
エンゲージメント
アルゴリズムの詳細はSNSごとに異なり、継続的に変更されます。「この言葉を入れれば伸びる」といった一時的な攻略法だけに依存せず、採用したい人に関係のある内容か、最後まで見る理由があるか、プロフィールや採用サイトへ進みたくなるかを優先します。
4. PDCAで小さく試す
PLAN
誰に、何を、どのSNSで伝えるか決める
DO
実際に制作・投稿する
CHECK
インサイトやサイト流入を確認する
ACT
テーマ、表現、構成、導線を改善する
例えば、社員紹介動画を公開した結果、再生数は多くなくても、保存数や採用サイトへの移動が多ければ、求職者の確認材料として機能した可能性があります。反対に、再生数だけ多く、プロフィール閲覧やサイト移動がほとんどなければ、採用したい層とは異なる人へ届いている可能性があります。
一投稿ごとに結論を出すのではなく、同じテーマや形式を数回試し、一定期間で比較します。
5. UTMで流入元を記録する
UTM(Unified Threat Management)は、Webサイトへの流入経路を把握するために用いる、URLの末尾に追加する識別(URLパラメータ)です。同じ社員インタビューページをInstagramとXで紹介しても、通常のURLだけでは、どちらから来たのか区別できない場合があります。UTMを付ければ、媒体や企画ごとの流入を確認できます。
| 項目 | 記録する内容 | 例 |
|---|---|---|
| utm_source | 流入元 | |
| utm_medium | 流入の種類 | social |
| utm_campaign | 採用企画・募集名 | engineer_2026 |
| utm_content | 投稿の識別 | employee_interview_01 |
例
https://example.jp/recruit/?utm_source=instagram&utm_medium=social&utm_campaign=engineer_2026&utm_content=employee_interview_01
表記が「Instagram」「instagram」「insta」とばらばらになると、分析時に別の流入として集計されます。会社内で命名ルールを決め、投稿管理表に記録します。
UTMはURL上で見える情報です。社員名、応募者名、メールアドレスなどの個人情報は入れません。
6. 指標の用語集
項目をクリックすると、意味と「登場する場面」が開きます。
{{ p }}
{{ t.scene }}
7. 無料運用と有料サービス
SNSアカウント自体は、無料で始められるものが多くあります。ですが、無料だとこの分析やセキュリティにおいては制限を受けるものが多いです。まずは無料機能を使い、投稿の目的、役割分担、素材の集め方、更新頻度を確立する方法でも問題ありませんが、運用規模が大きくなってきたら、有料化を検討しましょう。
有料サービスで使いやすくなる機能
- 予約投稿数や連携アカウント数の増加
- 複数人での共同運用
- 管理者・投稿者・確認者の権限分け
- 投稿前の承認フロー
- 詳細なインサイト
- 過去データの長期保存
- 複数SNSの横断分析
- レポート出力
- コメントやメッセージの一元管理
- 監査ログやセキュリティ機能
- 問い合わせサポート
有料化を検討する目安
- 運用するSNSが増えた
- 投稿頻度が上がった
- 複数人で運用するようになった
- 投稿前の確認・承認が必要になった
- 担当者ごとに権限を分けたい
- 手作業での集計に時間がかかる
- 過去の分析データを残したい
- 個人へのパスワード共有をやめたい
- 担当者不在でも運用を止めたくない
有料化すれば投稿内容がよくなり、応募が増えるわけではありません。無料で小さく始め、運用上の課題が明確になってから、その課題を解決できる有料サービスを選びます。
助成金を活用し、マーケティング担当者を社内で育てる
採用難の時代だからこそ、自社で育成
採用活動にSNSやWebサイトを活用しようとすると、「まずはマーケティングの専門家を採用しなければ」と考えがちです。
しかし、マーケティング人材そのものの採用は簡単ではありません。企画、撮影、投稿、広告運用、データ分析まで一人でこなせる人材を探そうとすると、採用難易度は格段に上がります。
ここで検討してほしいのが、社内の人材をマーケティング担当者として育成する方法です。
◆マーケティング用語は、専門家らしく話すためのものではない
「マーケティング」と聞くと、ここに上げられた耳慣れない専門用語を操り、特別なセンスが必要な仕事に思えるかもしれません。
しかし、本来の役割はもっと実務的です。
届けたい相手が、どこで止まっているのかを特定する
採用活動であれば、例えば次のように分解できます。
- 求人や会社の存在を知ってもらう
- 投稿や採用サイトを見てもらう
- 仕事内容や条件を理解してもらう
- 会社に興味を持ってもらう
- 応募フォームへ進んでもらう
- 実際に応募してもらう
- 面接や入社につなげる
応募が少ないときに、漠然と「もっと魅力的な投稿を作ろう」と考えるだけでは、改善点は分かりません。
そもそも投稿が見られていないのか。投稿は見られているが採用サイトへ進んでいないのか。採用サイトは読まれているが応募フォームで離脱しているのか。
この「どこで人が止まっているか」を数字で確認するのが、マーケティングの基本です。出てくる用語は、その位置を示す名称に過ぎません。
◆センスや勘ではなく、数字を見て改善する
マーケティングには、表現や企画を考える力も必要です。しかし、その良し悪しを担当者の好みだけで決めるものではありません。
こうした数字を定期的に確認すれば、次に直すべき場所が見えてきます。
「なんとなく反応が悪い」ではなく、「動画は見られているが、採用サイトへの移動が少ない」「応募フォームまでは進んでいるが、入力途中で離脱している」と共有できるようになります。
特別な才能を持つ人だけが操るものではなく、数字を同じ順番で確認し、仮説を立て、小さく改善する手順を身につければ、社内でも十分に運用できます。
◆社内の人だからこそ、伝えられることがある
採用マーケティングでは、ツールの操作以上に「会社の中を知っていること」が重要です。
社内の担当者は、外部の専門家よりも、次のような情報に日常的に触れています。
外部の専門家は、最初の設計、分析方法、投稿の型化、担当者の育成などを支援できます。しかし、毎日の会社の変化を拾い、継続して発信する役割は、社内に持つ方が強いです。
完成されたマーケティング人材を一人採用するのではなく、会社をよく知る社員に必要な知識を身につけてもらい、外部の専門家が立ち上げを支援する方法もあります。
◆人材開発支援助成金を利用できる可能性がある
こういった人材育成のために、社員にマーケティングやデジタル活用の研修を受講させる場合、厚生労働省の「人材開発支援助成金」を利用できる可能性があります。
これは、事業主が雇用する労働者に対して、職務に関連する専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練を計画的に実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などを助成する制度です。
対象となり得るのは、例えば次のような研修です。
マーケティング研修であれば、すべて自動的に助成対象になるわけではありません。受講者の職務との関連性、訓練時間、研修内容、経費負担などの要件を満たす必要があります。
原則として訓練開始前の計画届も必要です。研修へ申し込んだ後では間に合わない可能性があるため、受講先を決める前に、最新の要件を確認しておくことが重要です。
制度のコースや要件は随時改正されるため、申請時点の厚生労働省「人材開発支援助成金」の案内を確認してください。
採用難の時代だからこそ、「完成した人材を探す」のではなく、「社内で育てる」という選択肢を持つことが、継続できる採用活動、そしてノウハウの蓄積につながります。
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